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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第7章

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240回目 ラブロマンスなんて気の利いたものじゃありません 9

「でも、危険じゃないですか?」

「まあな。

 危険が無いとは言わない」

「そんな所に父ちゃん達を……」

「ま、それでも冒険者が周りにいるから。

 実際にそこまで危険ってわけじゃない」



 状況的に言うならば、柊領とさほど違いは無い。

 モンスターの領域に接していた辺境のこの場所は、常にモンスターの脅威にさらされていた。

 危険さで言えば、切り開いて手に入れた奥地と柊領で大差は無い。



「それに今後更に発展していく予定だ。

 その第一陣になってもらいたい」

 それは先を見据えての言葉でもある。



 どのみち入植はする予定でいる。

 トモルが自分の活動基盤にする為に。

 であるならば、息のかかった人間を送り込みたかった。

 サエの家族であるならば、それにうってつけと言える。



 何せ身内になるのだ。

 赤の他人よりはよっぽど信がおける。

 それでも裏切る時は裏切るのが人間ではあるが。

 しかし、全く何の繋がりもない人間よりはマシであった。



「出来ればそこの村長とかになってくれればありがたいし。

 第一陣として赴き、中心人物になってもらいたい」

 そうしてトモルの活動拠点の土台を担ってもらいたい。

 また、サエを娶るにあたり、その引き出物という側面もある。

 村に居づらくなるサエの家族への対価とも言える。



「大変だろうけど、そうなってくれると助かる。

 そのかわり、土地は耕した分だけ手に入れる事が出来る。

 最初にある程度用意してはおくけど、そこから先は努力と才覚次第だ」

 言い方を変えれば、切り取り次第と言える。

 大盤振る舞いもいいところだ。

 これくらいしなければ、危険な場所での仕事に引き合わないとも言える。



「でも、モンスターは本当に大丈夫なんですか?」

「何とかなるだろう。

 出向いてる冒険者で充分に撃退出来るようだし」

 トモルとは違う、一般的な人間である。

 レベルは上がってるが、傑出してるというわけではない。

 そんな者達でも充分に凌げるのだから、特別危険は無い。



 そもそも、この近隣のモンスターの巣は、トモルが破壊している。

 適度なモンスターを確保し、核を入手するためにいくつかは残してあるが、大量発生する危険は少ない。



 もっとも、これを知ってるのはトモルだけ。

 他の多くの者達はモンスターの脅威は今まで通りと思ってる。

 なので当然ながら警戒している。

 サエもそれは同じだ。

 しかし、トモルの言葉にある程度安心する。



「だったら大丈夫ですか?」

「確実性はないけど、極端に危険って事は無いはずだ」

 実際にはかなり安全であるのだが、それはさすがに口に出せない。

 それは申し訳ないと思いながら、伝えても問題のない範囲で事実を口にする。

「だから、サエの家族には安心してもらいたい」



 サエの家族はこの事を聞き、それならばと考えていく。

 更に後日、トモルから直接話を聞き、新たな地に向かう事を考えるようになる。

 ただ、さすがに家族全員がいきなり出向くのは躊躇った。

 もし万が一にも間違いがあったらたまらない。



 トモルもそれは当然だと思ったので、家族の誰かが先んじて現地に出向く事を提案した。

 当然ながらそれは、サエの家にいる部屋住みの兄弟に任される事になった。

 家にいても田畑を分けてもらえるわけではない者達である。

 多少の危険があっても、自分の田畑が手に入るならばと承諾していった。



 サエの父と上の兄は、その結果を見て行動を決める事になる。

 ただ、それでも新たな場所に出向く事になるだろうとも考えてはいた。

 トモルが危惧したように、村の他の者が態度を変える可能性があるからだ。

 そうなれば居づらくなるどころではなくなる。

 早々に新天地に出向いた方が良いと考えてもいた。



 それはつまり、サエをトモルに嫁がせるのを認めたという事だ。

 新天地に赴くのも、発端はサエがトモルに娶られるからである。

 それが無ければ、今まで通りでいられたのだ。

 ある意味、トモルは疫病神と言える。



 だが、引き替えに差し出してきた条件は、そういった問題を差し引いても余りあるものだった。

 まだ誰も手をつけてない土地。

 そこを自由に切り開ける権利。

 ある程度整地した場所も用意すると言ってるので、開墾の手間も大分減る。



 更には、新天地にて中心となる立場になってもらいたいとも。

 失うものに比べれば破格の待遇と言える。



 また、その気があるならば、出張所で子供の一人か二人は召し抱えるとも。

 そうなる為には勉学に励んでもらわねばならないとも言われたが、それでも大盤振る舞いと言える。

 役所というか領主の下で働ける者は限られる。

 そのほとんどは貴族の子弟でしめられている。

 教養を身につけてないといけないし、そんな修養をおさめてるのは貴族くらいだからだ。



 そんな所に自分達の子供を抱えると言っている。

 庄屋でも豪農でも村長でもない領民からすれば、大抜擢をも超えた快挙である。



 ここまでしてもらえるのならば、文句は無い。

 終わってしまうものへの愛惜は尽きないが、それでも前を向いていける。

「やるしかないか」

 サエの父は、そう呟いて様々な物事への踏ん切りをつけた。

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