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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第7章

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229回目 帰郷1年目における現状 6

「本当になんで忙しいんだか」

 それだけ色々面倒が増えたからである。

 分かってはいるのだが、それでも言いたくなる。

「もっと暇でいいと思うんだけどね」

 控えてるサエにぼやきながらため息を吐く。



 本当なら形だけの監督責任者なので、何もしないで椅子に座ってればそれで良いはずなのだ。

 それがそうなってないのは、トモルが勝手にあれこれやってるからである。

 完全に自業自得である。

 文句を言う筋合いなどどこにもない。



 また、言われるサエにしても、トモルがどんな仕事をしてるか知ってるわけではない。

 単なる使用人なので当然である。

 使用人は主の生活部分の世話が仕事だ。



 業務内容など教えられる事も無いし、それらをおぼえる必要もない。

 身近にいるから小耳に挟む事もあるが、せいぜいその程度である。

 大変だと言われても、何がどれくらいなのかすら見当もつかない。



 言えるのは、

「お疲れ様です」

の一言くらいである。

「まったくだよ」

 そんな一言にのって、トモルは更にぼやく。

「どうしてこんなに忙しいんだか」



「でも、嘆いてばかりじゃいられないんじゃないですか?」

「まあねえ」

「お仕事がどれだけ大変かは分からないですが、トモル様でなければ出来ない事でしょうし」

「そういうわけじゃないと思うけどね」

 嘘である。

 トモルが仕切らねば冒険者の方は動かない。

 サエが知る由もない事だが。



「でも、トモル様がこうやって新しいお仕事を始めたおかげで、村は助かってます」

「だったらいいけど」

 多少なりとも効果があるならありがたい。

 なのだが、サエが慰めのために嘘を吐いてる可能性もある。

 この場合は嘘も方便ということでありがたくそれを受け取る事にするが。



「それに、これから婚約もあると聞きますし。

 まだまだ忙しくなるはずです」

「……それは言ってくれるな」

 言われて頭を抱えたくなる。

 それもまた手間のかかる面倒があるからだ。



 婚約と言っても末端の貴族同士だけに、そう格式張った事をするわけではない。

 だが、それでも貴族である。



 お互いの顔見せや本家などへの挨拶。

 直属の上司にあたる貴族への報告や挨拶。

 更に婚約のための(簡素ではあるが)儀式もやるとか。

 その為、やらねばならない事がこれから凝縮されて襲いかかってくる事になる。



「本当に面倒なんだよ、あれ」

 式次第などを伝えられたトモルは、そんな嘆きを口にしていく。

 婚約自体がいやというわけではない。

 相手のサナエも嫌ってるわけではない。

 サナエの家である羽川家も悪いところではない。



 少なくともトモルが調べられる範囲で悪評は聞いてない。

 特段優れたところもないが、落ち度と言えるものもない。

 重用されてこなかったし、これからもされないだろう。

 それだけに、鬱陶しい陰謀などとは無縁であると言える。

 つまりは、とるにたらない家といえる。

 柊家と同様に。



「なのになあ……」

 だからこそ理解しかねるものがあった。

「どうしてこんなに面倒なんだか」



 しきたりやら伝統やらで雁字搦めな貴族らしいといえる。

 とにかくやたらと儀式やらが多く、ととのえねばならない形式がある。

 何でこんな事をしなくちゃならないのだと思うが、それを崩す事も出来ない。

 惰性で続いてるとしか思えないやりとりが数多く存在する。



 それらも出来上がった当初は必要なものだったかもしれない。

 しかし、長い年月の間に意味は失われ形だけが残ってるのではないかと思われる。

 それなら整理していらないものを削っていきたいところであるのだが。

 残念ながらそれが出来ないでいるのが貴族である。

 鬱陶しくて面倒臭いだけであっても、形に拘ってしまう。

 それに巻き込まれてしまってるのだからたまったものではない。



「結婚するだけなんだけどなあ」

 重大な出来事なのだが、あまりに面倒な手続きに追われてるので、そんな風に言ってしまう。

 ただ、そう言いたくなるほど、余計な付属品が多かった。

「親戚一同とか呼ばなくていいから、結婚式だけで終わらせられないもんかねえ」

 茶をすすりながらぼやいてしまう。



 すぐ近くで聞かされるサエは、

「私からはなんとも……」

と言うしかなかった。

 そのサエの顔も幾分ひきつり気味である。

 どうにもしようのない問題を聞かされてるのだから無理もない。

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