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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第6章

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216回目 実家のお仕事 7

(まあ、まずは出来るところから)

 やりたい事はあるが、大きすぎてまだ手が付けられない。

 強大な能力を持ってるとはいえ、それだけで事が進むほど物事は簡単ではない。

 出来る所から一つずつやっていくしかなかった。



(最初の一歩は小さなもんだってのは基本だし)

 その一歩を踏み出せるかどうかが大事なのである。

 そして、小さな一歩をどれだけ重ねていけるのかも。

 結局は継続出来るかどうかである。

 利益が出るまで、成果が出るまで、結果が出るまで。



 あらためて考えると、この小さな領地がいかに何も無いかがよく分かる。

 辺境の小さな地方領主なのだから仕方が無い。

 現代日本に当てはめてみれば、それこそ町内会程度の大きさである。

 そんな小さな範囲なのだから、何も無くて当然だ。



 もちろん、人が居て、その人が食っていけるだけの産業はある。

 農業とそれを支えるだけの工業や商業が。

 そして、それらをまとめる中枢として、領主の統治機構(と言うのもおこがましいが)がある。

 本当の意味で何もないわけではない。

 しかし、拡大と拡張を考えた場合、足りないものがあまりにも多いのも事実であった。



(長い道のりだな)

 覚悟はしていたが、やるべき事の大きさと多さにため息が出る。

 これが自分だけの事ならそう悩む事も無いのだが。

(レベルアップのように簡単にはいかないよな、やっぱり)

 驚異的な伸びを示す自分だけなら、簡単に人の領域を超えていける。

 既に並大抵の人間をはるかに超える能力値を示している。



 しかし、集団や社会はそう上手くはいかない。

 一足飛びに成長というのはありえなかった。

 それらは全て他人が構築しているものである。

 トモル一人が成長してどうにかなるものではない。

(こればかりは気長にやるしかないか)

 トモルの能力をもってしても、こればかりはどうしようもなかった。



 せいぜい、全員の能力を魔術で強化して、モンスターを相手にした戦闘を有利に進めさせるくらいだ。

 そうすることでレベルアップを促進し、優秀な人間を育てていく事が出来る。

 この人材育成方法が、他と隔絶してる部分ではあるが。

 それらが各所に展開し、様々な分野の底上げはしていくだろう。

 それにしても、目に見えて発展するまでには時間がかかる。



(本当に何十年単位で時間が必要になるな、これじゃ)

 そう思い、再びため息を吐く。

 なまじ先を見通すだけの智慧と知識があるだけに、苦悶も大きかった。



 そして。

 そんな苦悶すらも無駄になるような事態も進行していく。

 大きな動きがあれば、それは隠しようが無くなる。

 大量の冒険者流入による核の大量収穫。

 貴族子弟を抱え込む事による領主の拡大。

 必要になる物資の受注量の増加。



 それらは目端のきく商人や職人、統治者である貴族などの耳目を集めるものであった。

 見逃すような盆暗はそう多くはない。

 優秀なものほど、野心を持つものほど動きは早くなる。

 好意的とは言い難いものも含めて、動きは広範囲に拡大して起こり、加速していく。

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