196回目 学校における出来事のちょっとした事後報告 8
好き勝手にやる連中を野放しにしてはいけない。
それらを叩き潰さなければ、自分が被害を受けてしまう。
そして、周りで起こってる事態を傍観してもいけない。
放置すれば最悪の事態になり、いずれ自分にも被害が及ぶ。
寺子屋で起こった学級崩壊の姿がそれを物語っている。
悪さをする奴らを放置しておけば、それだけで状態は悪化する。
そして、悪さをする奴らは言っても聞かないのだ。
注意や説教なんて何の意味もない。
力尽くで押さえつける事だけが、唯一の正解である。
だからこそトモルは力を付けていった。
目の前で起こってる悪さを放置はしないようにした。
可能であるならば、徹底的に叩き潰した。
それが出来ないならば、当面は問題にならないくらいには弱めていった。
当然ながら、後で根絶やしにする為に。
その為にトモルは行動していた。
かつてモンスターを倒してレベルを上げていったように。
今は勢力という社会的なレベルを上げてる最中である。
今回の事件はとりあえず終わりを見せた。
だが、問題の根本が消えたわけではない。
それらはいずれ再びあらわれるだろう。
そうなった時に対抗出来るだけの強さが必要であった。
(まあ、最悪の場合、俺が自分で叩きのめしにいけばいいんだけど)
隔絶した力を持つトモルならそれも出来る。
ただ、その為には時間と手間がかかり過ぎる。
敵を一つずつ潰していくのも面倒でしかない。
それよりは、使える手駒を増やして、あちこちに影響を及ぼした方が楽だ。
また、直接の打撃を与えられないまでも、情報の入手と分析などが出来るとありがたい。
敵がどこにいて何を考え何をしてるのかが分かれば、対処が各段にやりやすくなる。
その為の組織や人は、自分の手で作っていかねばならない。
それはそれで手間であるが、苦労した分の見返りは期待出来る。
少なくとも、一人で全てをやる苦労からは解放される。
(頑張らないといけないな)
世のため人のためなんて偽善は言わない。
あくまで自分自身のこの先の為。
少しでも幸せな未来のため。
前世で得られなかった何かを手に入れるため。
前世でせねばならなかった妥協を二度としないで済ますため。
その為にやれる事は出し惜しみせずにやるつもりでいた。
それから数年。
学校を卒業するその時まで、トモルはそれをしていった。
藤園カオリにやらせた、児童売春組織の暴露。
それに伴う様々な混乱と収束。
その間に作っていく、柊家と自分の手駒の強化。
そして、自分の手下の育成。
これらを行うにはどうしても数年という時間がかかってしまった。




