195回目 学校における出来事のちょっとした事後報告 7
なお、このような組織が存在した事で、学校にも責任の追及は及んだ。
任せて預けた子女がこんな目にあってるなどとなれば、どの家も問題にせざるえない。
こればかりは人員の入れ替えや、監督官庁の責任者、更にはこの地を治める領主なども追求が及んだ。
その結果、教育関係者は総入れ替えという程に大きな変動を余儀なくされた。
少なくとも、藤園関係者は学校から排除されていった。
完全に消え去る事はなかったが、大幅な人事刷新がなされていった。
さすがにこの部分をそのまま放置するわけにはいかなかった。
藤園家としても、家の権勢をたてにしてゴリ押しするわけにもいかなかった。
だが、完全に藤園家の関係者が消えたかというと、そんな事はない。
実務を担ってる者達が多く、全部を入れ替えてしまったら機能しなくなるからだ。
藤園家の圧力もそこに加わり、問題の完全な除去は出来なかった。
この部分は今後も問題視されるようになっていく。
火種がまだ残ってるのだから当然だろう。
起こった出来事の大きさから、簡単にまとまっていくわけもない。
完全な終息もなされていくわけではない。
その後も何かの折りにぶりかえす事もあった。
それでも一年二年と時間が経過するごとに、騒ぎは少しずつ小さくなっていく。
表向きは平穏を取り戻しながら、日々は過ぎさっていった。
「まあ、仕方ないか」
そういった話もまた、トモルの所に流れこんでくる。
いずれの情報も、学校関係者からもたらされたものだ。
このトモルの手足になっていた者達は、問題に直接関与する事がなかった。
そういう者達を選んでトモルは支配下においたのだ。
なので、トモルの関係者は学校にほとんどは残った。
それらが新編された学校職員達の中でそれなりの立場になっていく。
役職はそれほど高くはない。
だが、これまでの業務の引き継ぎもある。
そうなると、経験者の存在は大きくなる。
自然と中心的な役割を果たしていく。
それが様々な影響力を学校内で放っていく事になる。
これもまた、トモルが手に入れたものと言える。
なんだかんだで得た物は大きい。
なので文句は無い。
繋がりも影響も少しずつ大きくしていっている。
何もない所から始めたのだから、これは大きな成果と言えた。
とはいえ、全体から見れば、まだまだ小さなものである。
今後も拡大をしていかねばならない。
関係をより深め、熟成させる必要がある。
地元や冒険者達の育成に拡大だけではない。
こうした貴族間での地盤を作っていかねばならない。
でなければ、面倒に巻き込まれた時に何も出来なくなる。
(周りに左右されるなんて、冗談じゃない)
傍若無人とまではいかなくても、自分の思いを通したい。
自分の好きにやっていきたい。
自分の自由を保ちたい。
その為には力が絶対に必要だった。
単なる個人の能力だけではない。
権力や権勢といった社会的な力も。
弱ければ、それらに押しつぶされるのだから。
(タケジみたいな奴らをのさばらせたくもないし)
子供の頃の出来事が、今のトモルにも影響を与えていた。




