189回目 学校における出来事のちょっとした事後報告
卒業式での出来事もあり、貴族界隈は多少は騒ぎを見せた。
事を起こした藤園カオリとその実家は、当然ながらやり玉にあがっていく。
また、カオリが関与していたという売春組織などについても捜査は行われた。
それに伴い、トモルは持ってる証拠の幾つかを各地にばらまいた。
どの程度効果があるのか分からなかったが、多少は追及がなされるようにと願って。
もちろん、何の期待もしてはいなかったが。
何せ藤園家は国家中枢にも絡む家である。
傍流・末端であっても、それらが絡んでいれば調査や捜査が途中で打ち切りになる。
仮に捜査が進むにしても、本家に及ぶ事はない。
それこそ傍流や末端が尻尾切りになって終わりだ。
何かが大きく変わる事などない。
実際、大して何かが変わるわけではなかった。
カオリとその家はさすがにお咎めなしというわけにはいかなかった。
それに従って協力していた者達も。
また、客であった者達の中で、力のない所も相応の処分を受けていった。
だが、さすがに有力者までは追及できない。
司法機関もそれ以上はどうにも出来ないでいた。
それに、事の当事者が処分を受けても、その家が取りつぶしにあうわけでもない。
たとえ当主であっても、やらかした者を切り捨てるだけである。
その後に新たな当主を据えればそれで終わりになる。
ここでも当事者だけが悪い事にしての尻尾切りが行われていった。
売春組織を通じて、関係者の家も利益を得ていたというのに。
快楽だけを手に入れるためだけにこのような組織が存在したわけではない。
共に運営する事で、あるいは同好の趣味を持つ者同士という繋がりを保つという意味もある。
同じ趣味を持つ者同士の繋がりというのはバカに出来ない。
また、悪事を働いてる者達の共犯意識も強いものがある。
これによって出来た繋がりを元に、貴族社会内での派閥の形成なども行われていた。
いや、それは貴族社会というよりは、勢力・政権争いの為の繋がりと言えるだろう。
得られるのは快楽だけではなく、権勢や金銭にも及ぶものだった。
利権の温床とも言える。
その利益は、関係していた当事者だけに及ぶものではない。
出世や栄達という形で家にも伝わるものだった。
全く関係が無いとは言えないものがある。
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