187回目 とりあえず一発やってみて様子を見る 6
それでも全ては進んでいく。
想定外の出来事が起こり、予定が狂ったとしても。
それならそれで、それなりの結末に向かっていく。
魔術で操られていた藤園カオリが、全てを語り終えた後。
阿鼻叫喚の地獄絵図となった卒業式も。
それもまたそれなりの結末と、そこから続くそれからの出発点となっていく。
卒業式は中断され、その後は事態の収拾を図るべく様々な措置がとられていく。
とりあえず生徒は教室に戻された。
出席した来賓も控え室に戻り、参加した親も適当な部屋へと通された。
学校側は求められる説明に回答をどうにか出していくが、それでおさまるわけもない。
事情や事態は分かっても、解決が為されてるわけではないのだ。
その解決をこれからどうやってなしていくのか。
それが求められた。
だが、そんなもの学校だけで出せるわけもない。
当然のように、必要な機関などへの通報もされていく。
来賓の中にはしかるべき立場の者もおり、そういった者達は自分の権限の及ぶところに連絡もしていった。
後日学校には、相応の捜査の手がのびる事になるだろう。
警察などの治安機関まで出てくるかは分からない。
だが、学校関係の機関や部署は動かざるをえない。
とにかくカオリの語った事の真偽をといただし、事実の把握をしていく事になる。
その上で、起こってる事態への対処を決めていかねばならない。
必要な調査や捜査をした上で。
それらは学校だけに留まるわけではない。
カオリが取り仕切っていた組織の客。
それらにも及んでいく。
当然ながら有力な貴族にも。
もちろん、捜査機関の力をもってしても、そういった所に踏み込むのは難しい。
家の格や爵位というのはそれだけの力がある。
迂闊に踏み込めば、捜査そのものが消され、担当する者達も消される事になる。
それだけの権勢を持つ者達を取り調べるというのは、簡単な事ではない。
だが、今回は追い風が吹いた。
売春組織に働かされていた者達の親が動き出した。
被害を受けてなかった者達も働きかけた。
自分の所属する派閥や、より上位の領地を治める貴族などに訴えた。
また、これを好機とみた藤園以外の上位貴族も後押しをした。
おかげで捜査機関は遠慮無く関係者のところに踏み込む事が出来た。
結果が出るまでは時間がかかる。
結局はお咎めなしで終わるかもしれない。
しかし、捜査はなされていき、何らかの結果を出すだろう。
それがよりよいものであるよう、トモルも願っていった。
ただ、まともな結果が出ると考えるほど、楽観も出来なかった。
結局は上位貴族で何らかの話し合いが行われ、適当なところで捜査が打ち切りになる可能性だってあるのだ。
むしろ、そうなるだろうとすら思っていた。
上位貴族にとって、大事なのは自分らの利益であり、真偽を追及して適切な処罰をくだすことではない。
そんな事したって誰も得をしない、というのが彼等のこれまでの行動から推測される考えである。
それによって事件の処分がうやむやになり、事を起こした者達が解放されたとしても問題とも思わない。
同じような事が再び起こっても、何とも思わない。
それよりも、今回の出来事を用いて、相手に譲歩を迫る事が出来るかが重要になるだろう。
大切なのは自分達の権勢であり、悪しき事態への対処ではないのだろうから。
それもどうかとトモルは思うのだが、なれ合いにしか見えないそういった駆け引きは珍しくもない。
嘆いていてもはじまらない。
ならば、事が混乱してる間に自分にとって有利な状況を作るだけである。




