170回目 新学期にて行っていく事 4
そんなトモルは、学校に働きかけて学級編成を変更させていく。
自分の教室には手下を多めに。
そうでない所にもそれなりの監視員を貼り付ける形に。
敵対勢力やそうなりそうな者達に対抗出来る形を構築していく。
このあたりは、教師などの学校職員に指示を出して行わせていった。
表向きは学力に合わせた編成としてるが、実態は全く違う。
この学級編成の変更は、藤園や森園などの家への牽制も兼ねていた。
そういった巨大な貴族勢力の影響を可能な限り分断するのが目的である。
そうは言ってもせいぜい学生同士の連携を断ち切るくらいではある。
だが、学校内での活動に支障を発生させるくらいは出来る。
今はそれくらい出来ていれば充分だった。
その間にトモルは自分の勢力をつくりあげる事が出来るのだから。
無駄な邪魔の入らなくなった教室を、トモルは自分の指揮所にしていった。
学校内に作り出した要塞であり、立て籠もるための拠点である。
同時にそこは、各所に攻撃をしかける為の攻撃の要でもある。
実際に殴り合う事は無いにしても、起こった事態にすぐに対処するための場所は必要だった。
学校内での面倒を片付けるために。
学校の外に状況が漏れないように。
やれる事は可能な限りやっておかねばならなかった。
当面は、トモルの勢力拡大である。
実家からの人材催促も含め、トモルは配下を増やしていく。
仲間や友人といった横の関係ではない。
主と部下という上下関係である。
学校内においては単純な力の上下で。
更に配下をほしがる実家に、学友の家族を斡旋するにあたり、家同士の間柄にも上下をつけていく。
トモルは権威指向でも権力が欲しいわけでもないが、こうした格付けが必要な部分も出てくる。
まして貴族としては最下級に位置する柊家である。
舐めた態度をとってこられないように、それなりの対応はしておかねばならなかった。
(面倒臭いな、こういうのは)
トモル自身は貴族の、あるいは人間が持つこういった部分が鬱陶しくて仕方なかった。
役職や権限や責任などは、組織運営で必要なのは分かる。
だが、それらはあくまで仕事に必要なもので、日常や生活にまで持ち込みたくはない。
しかし貴族に限らず、人というのはどうしても何らかの上下の格付けを求める。
そんな人間ばかりではないが、そんな人間がいるのは確かだ。
そうした者達にもはっきりと、
「上に立ってるのはこちらで、お前は下で膝をついてろ」
と示さねばならない場合もある。
そうでないと、まとまるものもまとまらず、無駄な争乱や反乱を起こすきっかけになりかねない。
貴族の場合、爵位があるのでこれがより顕著になる傾向がある。
それが柊家への仕官に差し障る可能性もあった。
爵位が下の家に仕事に出る事をよしとしない連中だっているのだ。
それでも背に腹を代えられずに出向いてくる者もいる。
だが、なまじ爵位が上の家の出身だと、柊家でも居丈高に振る舞う事もあり得る。
そうさせないように、自分の立場を分からせる必要もある。
最初はそういった者は避けて採用していくが、いずれそうも言ってられなくなる。
やがては柊家より格上の者達を受け入れるしかない事態にもなるだろう。
そうなった時のための布石を今から一つ一つ打っていかねばならなかった。




