147回目 この状況とこの手札で出来る事はなんだろう
さて、体制作りである。
やらねばならない事だが、何からどう手を付ければ、である。
いきなり父親の所に行って、
「体制を作りましょう」
と言っても一蹴されるだけだろう。
困惑されて終わりになるだろう。
こいつは何を言ってるのだ、と思われて終わりだろう。
何せトモルは、現時点では8歳の子供だ。
化け物じみた能力があったとしても、それを知ってる者は少ない。
そんなトモルが進言しても、まともにとりあってもらえるわけがない。
(もうちょっとどうにかしないと)
取っかかりが欲しかった。
とはいえ、そうそう都合良くきっかけが出来るわけもない。
仕方なくトモルは、午前中は道路造りを、午後は子供達と一緒にいるという日々を過ごしていく事になる。
ついでにこの村の外れにいる冒険者達にも混ざっていったりもした。
行商人の所にも顔を出した。
それらと顔を繋ぎ、話をして少しずつこの先への展望を作っていく。
「へえ、この先にねえ」
ダンジョンの事を教えると、冒険者達は興味を示した。
「今、そっちに続く道を造ってるところだから、それが出来たら案内するよ」
「本当か?」
「もちろん」
それを聞いた冒険者達は興奮しているようだった。
ダンジョンは危険も大きいが稼ぐのに適した場所でもある。
だが、国内のダンジョンは既に他の冒険者が殺到している。
それらが競争してるので稼ぐのも難しい。
宿泊場所もなかなか確保出来ず、自然と追い出される形になってしまっている。
しかし、手つかずのダンジョンならそんな心配はいらない。
自分の腕に自信を持つ冒険者ならば、行かずにはおれない場所だ。
「道が出来たら、是非案内してくれ」
「ああ、頼む」
存外乗り気な冒険者を見て、トモルは安堵した。
「久しぶりですね」
そう言う行商人にトモルは「そうですね」と応じる。
この村における唯一の売却先である商人との付き合いは長い。
彼から購入した装備品などもある。
おかげでトモルは彼にとってお得意様の一人になっていた。
「商売の方はどうですか?」
「おかげさまで繁盛してますよ。
冒険者も増えてますし」
「それは良かった」
トモルとしてもそれはありがたい。
商売になるなら、商人はやってくる。
それは物資の流通を促す事になる。
村で必要な様々な物品を町から運んできてくれるようになる。
発展にはこれが必要不可欠だ。
「良かったら、ここで店を開いてくれるとありがたいんですけどね」
「そうしたいのは山々なんですけどね。
その為には稼ぎをもっと増やさないといけないので」
「なるほど」
資本金もそうだが、運営費が必要という事なのだろう。
店を作って保つには、日々の売り上げが必要になる。
それが確保出来るほどの需要がまだ無い。
村の現状の一端を知る事が出来た。
「せめて冒険者がもっと増えれば、ってところですか」
「まあ、そういう事です」
なら話は簡単である。
冒険者を増やせば良いというならば。
そういった話をしながら、子供達にも会っていく。
やる事はそう多くはない。
貴族の学校での話や、村の外の町の話である。
外の情報が少ないので、そういった事にも飢えている者が多い。
トモルはあまり問題のない範囲でそれらを伝えていく。
それらを子供達は興味深く聞いていく。
彼等にとってはそれが最高の娯楽だった。
そんな彼らにトモルは村の事も聞いていく。
自分がいない間に何があったのかを。
代わり映えのない村の事、大した事は聞けはしなかったが。
ただ、そんな話に紛れて、冒険者についての話もしていく。
この村で彼等がどう言われてるのかを知るために。
子供なのでそれもさして詳しいわけではないだろうとは思った。
しかし、親がそれらについてどう言ってるのかは聞くことが出来た。
「あんまり近寄るなって言われた」
「凄く困った顔をしてたよ」
それを聞いてトモルは「しめた」と思った。
「それ、どういう事?
もっと聞かせて」
これが事を動かすきっかけになるかもしれないと思って。
いや、これを無理矢理にでも糸口にしようと考えて。
誤字脱字の報告ありがとう。
この後書きを書いてる時点までにもらった部分は修正済み。




