表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/531

146回目 世の中そんなもんというだけの、ありふれたお話 3

 モンスターを倒す為には冒険者が必要である。

 より正確に言うならば、モンスター退治を専業とする者達が。



 本来ならば軍隊がやるべき仕事なのだが、残念ながら兵力が足りない。

 なので、やむなく冒険者という民間業者に任せている。

 そして、これである程度世の中が上手く回ってる。

 だから、モンスター対策としての軍勢の増強なども後回しにされる。

「民間でこなせてるなら、それでいいだろう。

 政府や領主が手を出さなくても」

という話にもなる。



 実際、これはこれで良い事ではあるのだろう。

 軍を動かしたり、領主の兵士でモンスターを片付ける。

 その財源は税金でまかなわれる。

 なので、兵力の増強はなかなか難しい。



 核を回収して売れば、その費用をまかなう事は出来る。

 しかし、そうなると管理が面倒になる。

 どうしても大がかりな組織が必要になる。

 そこまでやるとなると、相当な人数が必要となる。

 その維持費だけで莫大なものになる。



 得られる利益と、必要経費。

 それを考えると、はたしてそれが割に合うかどうか。

 巨大化した組織は、切り盛りするのが大変なのだ。

 それを考えると、どうしても尻込みしてしまう。



 一番の問題は、そうした組織を運営出来る人材がなかなかいない事。

 組織を作るにしても、この問題を解決するのが難しい。

 だから政府にしろ領主にしろ、軍の増強などは及び腰になる。



 そうなるならば、冒険者に好き勝手やらせておいた方がまだマシというものだ。

 特に管理する必要があるわけではない。

 それが問題になるのも確かだが、常に統率するよりは楽だ。

 野放しにして治安が悪くなるのは問題になるが。



 ただ、ここが悩ましい所である。

 管理の手間はある。

 だが、組織というのはやたらと拡大したがるものだ。

 官僚機構などはその典型例である。



 それに、貴族の食い扶持を確保するという名目もある。

 管理が手間でも、軍備の増強を願う者もいる。

 それにまつわる様々な組織が生まれるからだ。

 冷や飯食いの部屋住み貴族達は、そういった新設部署を切実に望む。



 そして、増大した組織というのは、無駄な仕事を増やす。

 これも定番である。

 どんなに不要になった仕事や部署でも、後生大事に残す。

 無くしたら食い扶持が減るからだ。

 かくて整理するべき部署は延々と残る。



 そんな連中を抱えるとなると、必ず面倒も増える。

 トモルはそういう組織や部署も必要だとは考えてる。

 だが、お荷物を作りたいわけではない。



 数だけは多くて、出費も多い。

 そのくせ仕事はしない。

 もし、領主のおかかえの軍勢を作ったら、こうなる可能性が高い。

 やってくるのが、たいていは貴族や武家の子供になるからだ。



 そんな貴族や武家の子供を危険なモンスター退治に送り出せるか?

 出来るわけがない。

 そんな事をしたら、彼らの家から文句が飛んでくる。

 戦う事が仕事の軍勢なのにだ。



 そんなわけで、動かすのにも気をつかう。

 動かす為には大義名分が必要になる。

 こういった理由で出動せねばならないと。

 一々そんな事してるわけにはいかない。

 なにせ、モンスターはいつもそこらに出没するのだから。



 何より、戦死者が出たらそれだけでも手間と面倒が増える。

 遺族への言い訳と見舞金。

 死亡者の穴埋め、減った分の補充人員の確保。

 それに施す訓練。

 これらがどうしても必要になる。

 そして、また面倒な貴族の家の子供がやってくる。



 こうなってくると、冒険者の方がまだ使い勝手がよいという事になる。

 なにせ、戦わなくては食いっぱぐれるのだ。

 イヤでもモンスター退治に出かける。

 思い通りに動いてくれるわけではなくても、それだけでありがたい。



 募集すれば一応は集める事が出来るのも良い。

 質はともかく、頭数が必要な時にはありがたい。

 即座に人が欲しい現場からすれば、これだけでも充分な利点になる。



 なので、トモルからすれば冒険者の確保は必要不可欠な事だ。

 何はなくとも、モンスター退治に勤しんでくれるのだから。

 そんなすぐに動いてくれる冒険者を追い出すわけにもいかない。

 問題があるのは分かってるが、村に襲いかかるモンスターが減るのは確かなのだ。



 その分だけ安全地帯が拡がり、田畑の拡大に乗り出す事も出来る。

 これだけでも冒険者を留めておくだけの理由としては充分にある。



 加えて、田畑で取れる収穫物の、最も近くにいる消費者でもある。

 冒険者に食料を売ることで商売になってるのだ。

 これを簡単に捨てる事が出来るわけがない。

 村にとってもすぐ側にある売却先を失うのは痛手である。



 もっとも、村に被害が出ればそんな利益などどうでも良くなるが。

 当たり前だが、利益がどれだけあっても、被害が出ればそれで帳消しだ。

 どれだけ儲けても、赤字になったら意味がない。

 まして殺人・傷害・強盗・強姦などの事件が起こったら利益などと言ってられない。



 中には例外もいるだろう。

 たとえ死んでも傷ついても蔑まれても良い、それよりも金が欲しいという者もいる。

 しかし、そういう人間はそう多くはない。

 あくまで自分の身の安全を確保した上での事だ。



 他人は犠牲にしても、自分を犠牲にはしない。

 そう考えるのが人情だろう、あまり褒められたものではないが。

 多少の損失は覚悟するにしても、それは本当に当たり障り無い範囲に限られる。

 そして、この範囲はとてつもなく狭い。

 損失など、ほんの少しでも嫌なものだ。

 こんな事、あえて言う必要も無いほど当たり前の事だ。



 そんな問題を出来るだけ減らす。

 その為にも、出来るだけ冒険者と村人の接触を減らしたかった。

 一緒にさせると危険だ。

 だったら、接点を減らしていく。

 互いの居場所を分ける。

 至極簡単な解決方法である。



 混ぜるから問題が発生する。

 だが、接触点がなければ、衝突など生まれはしない。

 区分や区別をはっきりさせるのは、大きな利点がある。



 今のところそれは割と上手くいっている。

 冒険者は村の外れに駐留している。

 村との直接の接触は(比較的には)少ない。

 この状態をどうにか維持する必要があった。

 更に強化する必要もあると思える。



(そのための体制を作らないと)

 だとしてそれを家に逗留してる間に出来るかどうか。

 そこが悩みどころだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ