124回目 同じような相手なので同じように対処していくだけで済む
自分に絡んできた連中をモンスターに与えていく。
苦しみながら死んでいく冒険者達。
それを眺めながらトモルは、状況を確認していく。
(モンスターは前の所と種類も数もそんなに差はないか。
油断はしちゃいけないけど、倒せないって事はないな)
よほど油断しなければ確実に倒せる。
不意をうたれない限りどうにかなる。
この場のモンスターの強さはそのあたりのようだった。
とはいえ、見た目で判断出来ない要素もある。
そこが気がかりではあった。
だがそれでも、手におえないほどの脅威とは思えない。
気を揉むほどではないと思えた。
出来るだけ有利な条件を作ろうとも考えるが。
(一応、準備はしておくか)
食われていく冒険者達を置き去りにして、トモルはその場から離れる。
モンスターの強さがある程度わかればそれで良い。
絡んできたクズがどうなろうともだ。
むしろ、それらはさっさと処分されてもらいたかった。
いるだけ邪魔である。
それよりも準備の方が大事である。
ここでの戦闘を有利に進めるため、モンスターの核を集めに行く。
核集めそのものは楽に進んでいく。
時間はかかるが、モンスターを倒すのは楽なものだ。
見つけたモンスターを弱体化させて、刀剣を振り回して切り裂いていく。
刃渡り150センチの大振りの太刀は、ここでも大活躍だ。
モンスターの胴体を切り裂き、粉砕していく。
手間なのは、核を切り取ること。
出来るだけ手早くやっていく。
作業に大分慣れているので、そう時間はかからない。
ただ、一匹あたりはそうでもないが、まとめて数十匹となると話は変わる。
トモルはそれくらい一気に倒すので、結局時間がかかっってしまう。
一般的な冒険者達に比べれば、各段に早くすますのだが。
(しょうがないか)
省略出来ない手間は諦めるしかない。
それよりも、核である。
少しでも多く手に入れたい。
その為にトモルは、その後も何匹ものモンスターを倒していった。
時間も程よく過ぎた頃。
核も手に入り、あらためてダンジョンの中心へと向かう。
核はそれなりに手に入れた。
おかげで、魔術を惜しむことなく使える。
前回は少しばかり核の残量が不安であったが、今回はそういった心配は無い。
思う存分に力を出すことが出来るはずだった。
遠慮をするつもりはない。
「じゃあ、やるか」
このダンジョンのボスに突撃したトモルは、早速魔術を使っていった。
前回と同じように。
作戦というか、やる事は変わらない。
持てる最大限の力で叩きつぶす。
それを出来るだけ手際よく、効果的に行なっていくだけだ。
ボス戦は二回目とあって、前回よりは落ち着いて対処が出来る。
魔術によって相手の能力を落とし、逃げ場を無くすように状況をととのえていく。
空を風で乱し、地面は泥の沼地にしていく。
そこに炎を発生させて一気に殲滅。
本当に前回と何も変わらない。
モンスターが前回とさして変わらないからだ。
やる事を変更する必要がない。
その場にいるモンスターの数も、そう大きな違いは無い。
数えるのも面倒なほど多い。
そんなモンスターをまとめて殲滅していく。
細かなモンスターは炎に焼かれ、ボスは魔力を込めた刀剣で叩き切られる。
同じようなモンスターを相手に、同じような方法で同じように倒す。
ただそれだけの事を、トモルは淡々とこなしていった。




