111回目 ダンジョンのボス、その姿形
ダンジョンの中枢へと向かう。
出てくる化け物をなぎ倒していく。
一見無謀に、手当たり次第に動いてる。
それでいてトモルは、ある程度の慎重さは保っていた。
冷静というには頭に血が上っている。
しかし、無闇矢鱈に突進するという事はない。
進む方向は探知魔術で探り、出てくるモンスターの強さもはかっている。
種類によって適切な効果を持つ魔術を用いる。
場合によっては武器によって倒す。
そうした事を判断して動いていた。
「どけぇ!」
そう叫んで叫んで暴れるくらいには怒り狂ってもいたが。
なんだかんだで、冒険者の事で頭にきてるのも確かだ。
それでも着実にダンジョンの中枢へと向かっていた。
見た目以上に広いダンジョン内部。
そうはいっても、大きさに限界もあるダンジョン。
その広さはダンジョンによってまちまちだ。
トモルが入ってるこのダンジョンはそれなりの広さがある方だった。
入り口から入り、数キロほど進んだが、まだ中枢には到着しない。
外からみれば、そんなに大きくはない。
せいぜい、直径1キロといったところだ。
それが中に入るとこれだけ広大な空間となる。
いかにダンジョンがデタラメなのかが分かるというもの。
それでも強化魔術で能力を上げ、一気に走って突破する。
数キロという距離も、瞬時に駆け抜ける。
それで到着したダンジョン中枢は、異様な姿をしていた。
それは昆虫の卵のようだった。
幾つも密集して固まっている。
そこから絶えず新たなモンスターが生まれている。
なんとも言えない、不気味さを放つ光景だ。
そんな卵を産み出すひときわ巨大なモンスター。
一目見て察した。
それがこのダンジョンの中枢なのだと。
それもまた異様な姿をしていた。
昆虫型のモンスターが生まれるダンジョンだからだろうか。
中枢であるモンスターも虫と言える形をしていた。
しかし、果たして虫と言って良いのかどうか。
とりあえず、全体の大きさが違う。
細長い体は、頭から尻の先まで、およそ5メートルから6メートル。
それだけでも普通とは言い難い大きさだ。
それに加えて形が既におかしなものになっている。
確かに胴体は虫そのものだ。
細長い胸部分と、節を挟んで後ろに伸びるふくれた腹部。
その節の所から伸びる六つの節足。
そのうち前側の2本は、腕のように持ち上がっている。
それを意外と器用に使い、様々な物を掴んだりしている。
ただ、そんな昆虫じみた体の上についてる頭。
それは昆虫のものではなかった。
むしろ、人間のような形をしていた。
卵を産むからメスなのだろうか。
なんとなく女性的な顔立ちをしている。
言うなれば人面虫とでも言おうか。
そんな姿をしているのが、このダンジョンの中枢だった。
(気色悪い……)
素直にそう思った。
見た目が完全に昆虫だったら、まだ諦めもついたかもしれない。
割り切って、そういうものだと思えたかもしれない。
だが、中途半端に人間に似てる部分がある。
それが異様さを際だたせる。
どうしても生まれる不自然さ。
それが生理的なおぞましさを感じさせた。




