106回目 彼等の求めるところ
翌朝。
ダンジョンに赴いたトモルは、そこで待っていた冒険者達に驚いた。
結構な人数の者達が屯している。
それがトモルに目を向ける。
彼等が自分を待ってたのだとトモルは察した。
「おはよう」
そう声をかけていく。
「今日もダンジョンでモンスターを倒していくから、よろしく」
それを聞いて誰もが顔を曇らせていく。
色々と思う所があるのだろう。
そんな彼等の中から、一人が代表として前に出てくる。
「まあ、それはいいんだけどさ」
「ん?」
「さすがにもうちょっとだけ声をかけていってくれないか?」
そう言って、トモルに要望を伝えてくる。
「あんたがダンジョンを潰すっていうのは、まあ、しょうがない。
それに文句を言うつもりはない。
他の場所とかを教えてくれるって言うしな」
代表として前に出てきた男は、そう切り出してきた。
「それに、モンスターを置いていってくれるのもありがたい。
核を手に入れられるのはこっちも助かるし。
戦わなくてもいいから損害もない。
これもありがたい」
「おう」
トモルも相づちを打っていく。
「ただ、俺達も追いつくのが大変なんだ。
もう少しどうにかならないのか?」
「なるほど」
言いたい事は分かった。
確かに並の能力の持ち主じゃ追いかけるのも大変だろう。
トモルも旗を突き刺して目印にしてるが。
それだけでは足りないのも確かだ。
とはいえ、トモルも目的がある。
冒険者達の気持ちも分かるが、それに合わせてもいられない。
さっさとダンジョン攻略をしたいし、その為にもレベルをあげたい。
冒険者達に対応してやりたいが、なかなかそうもいかない。
「けど、俺も俺の目的がある。
これ以上合わせる事は出来ない」
そうはっきりと言う。
それを聞いて冒険者も、
「そうか」
と頷く。
うなだれると言った方が正解かもしれない。
(話し合いが欲しいって事なんだろうな)
冒険者の態度を見てそう思う。
これが声をかけてきた一番の理由なのだろうと。
それもそうだろうとは思う。
何せトモルが彼等にしてるのは、一方的な通知だ。
決定事項を伝え、あとはどうするかを彼等に任せている。
トモルからすればそれで充分だ。
話し合う暇はないのだから。
しかし、冒険者達からすればそうはいかないのだろう。
何せ、自分達の要望や希望などを全く聞いてもらってない。
損はしてないけど、もう少し互いの意思疎通が欲しいのだろう。
それはよく分かる。
トモル自身も、自分の考えを伝える時間や場が欲しいとは思っていた。
前日の、ダンジョンから出てきた直後などに思った事でもある。
(もう少し話しをする場所も欲しいかな)
だがそれは、冒険者達が求めてる話し合いとは違う。
あくまで一方的な通達の場所としてである。
お互いに求める事の違いがある。
トモルはそれを感じていた。




