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現在中継されてる映像を映し出した瞬間
老若男女、沢山の叫び声、断末魔の音が大音量で出たので
音を消す。
異様な雰囲気を感じ取ったのか、おじいちゃんおばあちゃんも
表情を厳しくし、私が持ってるスマホをのぞき込んだ。
スマホの画面には、そこに居たはずの可愛らしいアナウンサーの姿はなく
どう見ても死んでいる、人だったものが徘徊する様子と
血に染まった壁と床、机と椅子の様子がただそこに映されていた。
「と、言うことで私は、大好きな家族と一緒に安全な家で
引きこもろうと思いました。」
「これ、最近よくあるCGってやつじゃないのか?」
「凪沙、こんなものいつも観てるの?」
あれ?なんだか信じてもらえなかったぞ?
普段の行いが悪いのだろうか?
お利口さんで居たつもりだったので正直凹んだ。
「まあ、とにかくおじいちゃん、家に入ろ!」
その事にはおばあちゃんも賛成だった様なので、異論はなく
(おじいちゃんには色々文句言われたが)無事に家に入ることが出来た。
おじいちゃんとおばあちゃんは、テレビを付けて
ニュースを観て、やっと信じてくれた。
(私の言葉は信じてくれないのか。ちくしょう。)
それから私達は、知り合い、親戚等に現状を伝え
私の大好きな人達は誰も死なず、平和とは言わないが
大好きな人が近くにいて、休めるところがあって
何より学校がない日々を過ごすのでした……。
と、想像して私は溜息を吐く。
そう。今さっきまでの話は全ては私の妄想。
現在、あと2日学校に行けば
テストで赤点取らなければ、夏休みが来る。
そんな素直に喜べない中
早朝7:33分発の電車が来るのを
石倉いしくら 凪沙なぎさは黄色い線の内側で待っていた。
あぁ、憂鬱だ。
平和過ぎるこの世界に生きるのは
少々飽きてしまっていた。
有難い事に、電車は何時も決まった時間通りに
動いている。(事故さえ起きなければ)
そう。待ってれば来るのだ。
きっと今日も、同じ時間に来る電車に乗り
終点で降り、電車を1本乗り換えて
目的の駅に付けば、いつも通り公共のバスに乗って
大体同じ時間に、現在通っている学校に着くのだろう。
でも、実はそういう当たり前な日々が来ることは
物凄く有難い事なのだと思った。
そう。平和だから退屈だと思えるのだ。
目の前に、いつも通りの時間に電車が来て扉を開ける。
私はそれに乗り、学校へ向かう。
学校では、仲良くしてくれる友達がニコリと笑を見せ
私に挨拶してくれる。
退屈だが、知らないことを教えてくれる授業が待っている。
家に帰れば、家族が美味しいご飯を用意して迎えてくれる。
当たり前で、つい忘れがちになる幸せが
そこにはあったのだ。