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「お父さん、今日はお仕事行かないで欲しいの。」
不安そうな表情を見せながら
おばあちゃんはおじいちゃんの腕に触れた。
しかし、おばあちゃん手を振り払っておじいちゃんは
「何言ってんだ。仕事サボる訳には行かないだろ」
そう言って、鉄骨を積んだトラックに乗りこんだ。
おばあちゃんが不安そうな表情をしながら
エンジンをかけたトラックから少し離れる。
「……でも何か、嫌な予感がするのよ」
口から零れたおばあちゃんの声はエンジン音でかき消され
おじいちゃんの耳には届かない。
止める打つ手がなくて、ただ見送る事しか出来ないことに
おばあちゃんが歯がゆい思いをしている中
その場の空気を読まず、一台の白くて小さい車がトラックの前に止まった。
そして、その車の窓が2人の目の前でゆっくりと開かれたのでした。
私は、大好きなおじいちゃんおばあちゃんがいることに気が付いたので
今すぐ仕事に行ってしまいそうなおじいちゃんのトラックの前に
何処にも行けないように、車を停めてバリケードを作ってから
呑気に手を振りながら声をかけた。
「お〜じいちゃん〜ば〜ちゃん♪おう!おう♪やっほやっほ〜♪」
「おう、凪か。……学校は?」
おばあちゃんとおじいちゃんは目を丸くしながら
私を見ている。
変なものが有るのだろうか?
そう思って後ろ振り返っても何も無い。
あぁ、原因は私か。
「あ、じいちゃんばあちゃん。
私、今日から学校サボるの。」
そう言いながら、おじいちゃんが仕事に行けないように
工場の中に止めたまま状態になっているトラックの前で
そのまま駐車する。
「はぁ!?何言ってん……てか、なにやってんだぁ〜!!?」
「そうよ凪沙、資格は取っといた方がいいのよ
そんな事言ってないで行ってらっしゃい。」
2人とも意味がわからない。と言う気持ちを表情で表しながら
車から降りた私に声を荒らげた。
もしかしたら、ただサボりたいから私が帰ってきたのだと
考えてるのかもしれない。
「あ……えと、貰えない状況になってると思うし
学校に行く気もない……よ?」
「何を言ってるのよ!今日普通に学校あるのでしょう?」
やばい、このままじゃ、確実にお説教コースだ。
私の欠点である説明するのが苦手なのが、今日も2人をイラつかせてしまってる。
でも正直……説明するの面倒臭いから、考える気力すらない。
「あ!そうだ!!」
私は、リュックサックの中にスマホが入っている事を思い出して
取り出した。