あと2日学校に行けば
テストで赤点取らなければ、夏休みが来る。
そんな素直に喜べない中
早朝7:33分発の電車が来るのを
主人公、石倉 凪沙は
黄色い線の内側で待っていた。
あぁ、憂鬱だ。
平和過ぎるこの世界に生きるのは
少々飽きてしまっていた。
有難い事に、電車は何時も決まった時間通りに
動いている。(事故さえ起きなければ)
きっと今日も、同じ時間に来る電車に乗り
終点で降り、電車を1本乗り換えて
目的の駅に付けば、いつも通り公共のバスに乗って
大体同じ時間に、現在通っている学校に着くのだろう。
そして、寒いくらいクーラーが効いている部屋で
テストを受けて、帰りの途中は
(明日も学校だ。しかし、明日行けば…
赤点取らなければ夏休みだ!!)
なんて、溜め息吐き微笑むだろう。
まあ、夏休みが終われば
同じ様な日を、繰り返す事になり
退屈な日々がまた始まるんだろうけど。
そんな言葉が、頭の中から聞こえてきたので
とりあえず(そうだね)と、相槌を打ちながら
そのまま宇宙の星まで見えそうなほど
透き通った青空を見上げた。
(美しい。)
そう感じ、微笑みながら満足した様に溜め息吐いた。
手に持っていたスマホに視線を降ろし
次の異世界設定の小説を書くために
小説家になろうで、そのジャンルの小説を読み始める。
移動時間はいつもコレだ。
しかし、話の内容は同じじゃないので
大袈裟かも知れないが、これを読む為に
学校に向かってる気がする。
やっぱり人生娯楽が大事だわぁ〜。
なんて考えながら待ってると
金属同士が擦り合う、耳障りな音が鳴り響き
いつも通り電車が目の前に止まった。
……また今日も集中し過ぎて
到着のアナウンスを聞き逃してたようだ。
それと同時に、いつの間にか集まってた
電車に乗る予定の人達が、ざわめき始めた。
「何これ…」
「え?え…?」
「おい…マジかよ……」
(なんだ……?)
口々に呟き始める皆の反応に
何時通りではない状況に違和感を感じ
顔を上げた。
それと同時に、電車の扉が呑気な音を立てながら
いつも通りに、滑るように開いた。




