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目指す場所

 真影は着々と襲撃の日取りなどを調べ上げた。

 調べ上げるというより、適当に傷ついたふりをすれば面白半分に向こうから教えてくれるのだ。

 実にやりやすかった。簡単すぎて笑いが止まらない。

 まあ、相手が馬鹿すぎるんだけどね。

 不意に深々を思い出す。そして、もやもやと胸に浮かんだ気持ちを押し殺す。

 深々は最善を尽くさなかった。だから自滅は仕方のないことなのだ。

 仕方なかった、そんなことは言い訳にはならない。ただ流されているだけだ。

 病んだ犬を見捨てるような罪悪感が胸を刺したが、それをあえて無視する。

 真影は自室で、密告の紙片を書き綴る。


 寧州はとても暖かい、というか熱い。

 国の南端なので当然だが、そのため公衆入浴施設というものが充実していた。

 他人には打をさらけ出すのは少々気恥ずかしいが、この場所の気候になれていない真影は毎日汗だくになるので利用している。

 天暁にいるときはそれほど入浴に気が向くこともなかったが、ところ変わればということだろう。

 入浴といってもゆっくりつかるわけでもなく、温いお湯で髪と身体をすすぐ程度だ。

 同じ屋敷で暮らしている連中もたまにいる。

 真影を見るとあからさまにがっかりされるがあれはいったい何なんだろう。

 真影に声をかけたのは玉君だった。

 すすいだ髪を絞っているとそっと声をかけてくる。

 やはり同じ学び舎で学んだ連中と固まっていることも多いがそれ以外に声をかけてくることも増えた。

「あの、深々どうしてる?」

「そっちとは話さないの?」

 逆に聞き返す。

「最近付き合いが悪いから、別の相手ができたのかと」

「悪いけど、それほど親しくないよ、僕とも最近はあまり話さないからね」

 事実だった。

 真影とも最近は目も合わさない。

 それがたぶん罪悪感からきているだろうことも察している。

 しかし、相手が罪悪感を感じているとしても真影としては相手に対して容赦するつもりはなかった。

 元々相手が仕掛けたことだ。

「そうなのか、でも最近おかしい」

「僕は知らないよ」

 真影はそう言って話を打ち切った。

 自分のしていることは罪じゃない。そう自分に言い聞かせた。

「姉さん」

 とにかく、ここで躓くわけにはいかない、届かなければならない場所がある。

 思考の玉座の脇にいる姉を思い出す。

 姉はもともと自分の学費を捻出するために王宮に行ったのだ。

 なんでこういうことになったのかはわからないけれど、その場所に行く。そのために足掛かりになってもらう。

 真影は拳を握り締めた。


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