買い出し
「とにかく野菜は野菜なんだ。適当に炒めるか煮るかすれば食べられるさ」
見たこともないような鮮やかな色合いのイモや、毒々しいほど緑色の葉野菜などを買い込んでいく。
「おい、肉はどうする?」
そう金武に言われて真影は少し困った。
肉料理は冬しか食べないのが、河家の習慣だった。
冬になれば肉は安くなる。それに肉は体を温めるので、冬はどうしても食べなければならなかったのだ。
しかし、寧州はとても暖かい。こんな暖かいところで肉なんて食べなくてもいいのではないだろうか。
後ろの三人もなんとなく困ったような顔をして金武を見ている。
「あったかいからね、燻製があったら買おう」
そして、調味料を買う段階でしばらく困惑した。
「醤の味が違う」
普段使っている調味料と何か一味違う。まずいわけではないのだが違うとしか言いようがない。
「ああ、それ肉醤ってやつだと思う、それと魚醤」
「何それ」
金武が分かりやすく説明してくれた。
真影が普段使っているのは豆を使った豆醤と穀物を使った穀醤、他に動物性たんぱく質を使った醤もあるのだという。肉や魚を使うので当然豆や穀物の物より割高なので真影の家では使うこともなかったのだ。
「天暁でも普通に売ってたぞ」
言われてちょっと打ちひしがれる。
そしてさらに打ちひしがれる事態が勃発した。
「小麦粉がない…だと!?」
とにかく点心を作るのに必要な小麦粉がどこに行ってもなかった。
「これ、小麦粉に似てるから代用できるんじゃないか」
金武が白い粉を指さす。しかし質感からして明らかに小麦粉ではない。
「くっ、やむを得ない、ないよりましか」
「米はあってよかったな」
深々が米の大袋を抱えて言う。
人数が人数なので、この大袋もどれほど持つか。
真影は先行きが不安だった。
「おい、燻製があったぞ、あったら買うって言ってたよな」
飴色に輝く豚の切り身を指さして金武が興奮した口調で言う。
燻製は見るからにおいしそうだったが、おそらくお値段もそこそこだろう。
幼少のころからの節約精神が、二の足を踏む、しかし真影の葛藤などどこ吹く風と金武は肉屋に行ってしまった。
燻製肉の塊を買い込んでほくほくしている金武と払ったお金に軽く立ちくらみをおこす真影。そしてその背後で、買った品物と金額を薄板に記している秀黎。
真影が覗き込むと思ったより使っていない。
「物価は少し安いか」
かくして大荷物を抱えて住処に戻った。
調味料と食材、五人でも持て余すほどの大荷物になった。




