知りたくなかった
義兄と姉はこの国の王と、その妃芍薬殿だった。
その事実が染み渡るまでしばらくの時間を要した。
「話さなかったことにはいろいろと事情があってな」
そう言って、手前の椅子に座るよう促す。
「芍薬の妃への嫌がらせに君の首を切り落として送り付けかねない連中がいろいろいたので、あえて情報を隠したんだ」
「すいません、その連中ってどれだけいるんですか」
王が指を折って数え始めた。
「すいません、もういいです」
正直知りたくなかった。
「というか、あの父親に王家の外戚になったとか言える?」
その言葉に胸が詰まる。
「言えないね、下手すれば国が滅ぶ」
本当に真影の父の屑っぷりは冗談ではないのだ。
「今回のことだが、もともとは私が即位する以前から端を発していた」
巻き込まれた事件の話をしてくれるらしい。
「まあ、当時は兄達だの従兄弟達だのが寄ってたかって国の政治を知っちゃかめっちゃかにしてくれていた、そのことはまあ知っているな」
その国の混乱を収めたのが今の王、つまり姉の夫になるわけで。あまりの現実感のなさに笑えてくる。
「それで、あの大臣は国を売ることにしたらしい」
随分と物騒な響きだ。
「あの状況が続けば、遠からず国は内部から瓦解する。そうなった場合、国の混乱は避けられない。とっとと隣国に政権を渡してしまえば、国民の命がだいぶ助けられるはずだ」
それだけを言って目を伏せる。
「正直、その判断は全くの間違いとは言い切れないものだった」
実際、真影も、当時まだ子供だったが、この状況が続けば自体はずっと悪くなると思っていた。
治安は最悪で、いつだれが殺されたというような話は毎日のように聞かされた。
元軍人の老人に、子供達に武術を習わせるような働きかけをしていた。
実際に殺された子供達もいた。
その状況を立て直したのが、目の前の人物なのだが、正直実感はわかない。
「だから、その時はその行動を不問にしたわけだ」
薄く笑う。
「だが、隣国もまあ、夢をあきらめない連中がいたらしい」
そこまで言われて状況が読めた。
隣国の誰かが、その大臣に接触して以前の計画を実行しろと攻め立てた。そして、今王がいなくなればと短絡し。
「でも、今はまずいでしょう。ほかの国との兼ね合いもあるし」
以前のあと少しで無政府状態と、今とでは状況が違う。
「そう、今なら不当関与になる」
王はそう言ってポンポンと真影の頭を撫でた。
「ちゃんと勉強しているんだな、偉い偉い」
まるで幼児に接するような態度に少し心中複雑になった。
「そういう不都合を考えた連中は私に接触してきた」
「あっちも分裂ですか」
「そういうことだ」
姉はその間ずっと無言で王の傍らに座っていた。
「それと、これからのことだ」
王はそっと美蘭を見た。
美蘭は小さく頷く。




