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意味不明

 吾亦紅の妃はいきなり倒れた兄を不思議そうに見ていた。

 きょろきょろと周囲を見回す。

 しかし兄のほかは誰もいない。

 その時には加害者もさっさと立ち去っていた。

 今大声を上げるのはまずい、それはわかっていた。しかしどちらに向かえば人がいるかがわからない。

「ちょっと、手伝いなさい」

 そう言ってさっきまでいた物置のところまできた。

 扉の横につけっぱなしのカギを使って扉を開ける。

「手伝いなさいって、何?」

 わけもわからず真影達は顔を見合わせる。そして恐る恐る扉の隙間から、外を覗き見た。

 そして、吾亦紅の妃と、倒れている男を発見した。

 恐る恐る真影が男のそばに膝をつく。

「持病とか、ありましたか」

 とりあえず、急病人が出た時の対応をしてみる。

「知らないわ、急に倒れたんですもの」

 この状況で、真影達に何とかしろと言い切る根性がすごい。

「どうする、このまま逃げるか?」

 非常に魅力的な提案を圭樹がしてきた。

 吾亦紅の妃一人なら何とかまいて逃げ切ることもできるだろう。

 しかし真影はそのまま吾亦紅の妃に言った。

「それで、助ける代わりに何をしてくれますか?」

「生意気な、本来ならば首をはねられてもいい立場でしょう」

「そちらもね」

「そんなはずないわ、私達は勝つんだから」

 どう考えても、こんな浅はかな女をこの場に置くような連中に勝ち目はないと思われる。

「とりあえず、まだ息はあるようですよ」

 真影は相手の様子を観察している。

「そうね、私の言うことをきけば、悪いようにはしないわ」

 どう転んでも悪いようにしかならない気がする。

 そう思ったが、真影は頷く。

「そうですね、あなたが説得して、うまくやったとあちらに入っておきます」

 そういうと、真影達は男の身体をそれぞれで支えた。


 外務大臣だという男は吾亦紅の妃をしばらく苦々しい顔で見ていた。

「しかし、使えることは間違いない、うまくやればだが」

 そう言って真影達を見ている。

「お前たちに王のそばに行ってもらう、お前たちにやれとは言わん、囮になればいいのだ」

 そう言って、持ってきたのは女物の着物だ。

 視線が真影に集中する。

「まさか、それを着ろと」

「当然だ、これ以上はない囮になるだろう」

 真影は引きつった顔で、その着物を見ていた。

 随分上等で精緻な刺繍を施されているが問題はそこではない。

 なんで自分が女装することでこれ以上はない囮になるというんだろう。


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