表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/153

あほの締め方

 どうやらこの界隈は画期的に治安が良くなっていたらしい。

 裸で酒気を帯びていたその男は、街を歩いていた警邏の兵士にとっ捕まった。

 そのまま、取り調べを受けたが、一貫して姉が悪いと言い続けていたらしい。しかし姉は遠方に嫁いで、このところ近所で全く見かけられていないという証言しかなく。そして真影は店で着替えて、姉に化けたので、店の方角に歩いていく姉の姿を見たものも誰もいなく。あっさり虚言と断定された。

 身ぐるみ剥いだのも、香樹姐さんがしらばっくれて、ごまかし、料金を抜いた財布だけを返したそうだ。

 日ごろの行いの悪い人間というのは、一度躓くと、ここまで坂を転げ落ちるものなのかと真影は呆れた。

 常日頃から、若い娘の尻を追いかけまわしていたとか、父親の忘れ物を届けに行ったら襲われたとか、証言するものが後を絶たず、全裸で夜道を歩いていたのも、おそらくそのような性癖があるに違いないと断定された。

 仕事は首になり、その後、誰も困らなかったようなので、普段も仕事はまともにしていなかったらしい。親族からも縁を切られ、そのまま行方不明だとか。

 真影のところにも取り調べが来たが、すでに嫁いだ姉を取り返して妾に差し出せと無理難題を言われて困っていたと本当のことだけを話した。

 父親は少し青くなっていたようだが、真影が黙っていろと脅したらそのまま黙っていた。

 いつものように賃仕事の店の手伝いをしていると、香樹姐さんが真影に声をかけた。

「なんかおかしいね?」

「何が?」

「いや、この辺り急に治安が良くなったんじゃない?」

 そう呟く。

 実際治安はよくなった。数年前までは強盗殺人が毎日のように起きていたからだ。

「ちょっと前までなら、あのまま放っといたら数分後には誰かが始末してくれたのにね」

 とんでもない期待をしていたらしい。

 店でちょっと顔を合わせただけなのに、恐ろしく相手を嫌っている。

「でもやっぱり急に治安が良くなりすぎじゃないの」

 最近王が交代した。その結果徐々に治安は好転したいたのだが、ここしばらくで一気によくなっているのは確かだ。

「治安が良くなっておかしいってことないでしょ、今までがおかしかったんだけど」

「いや、おかしい、急に兵士さんたちが品行方正になった」

 それはいいことなんじゃないかなと真影は思ったが、考え込んでいる香樹姐さんはそう思っていないようだ。

 そう言えば、義兄にどう切り出そうか。

 義兄に香樹姐さんの店にちょっと便宜を図ってもらうという約束をしたのだが。

「あの、香樹姐さん」

 約束を破るつもりはないが、その約束を守るためにちょっと時間がかかるかもしれない。

 そう言おうとした真影を香樹姐さんは遮った。

「狩りは、義兄ではなくあんたが返しなさいよ」

「え?」

「出世払いよ、偉い役人になったら、あんたがうちに便宜を図ればいいの」

「いいの、時間がかかるよ」

「うちの店はそう簡単につぶれないよ」

 香樹姐さんはからからと笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ