後宮の茶会 3
一応の解決を見た後、何やらいろいろと話し合いの形が変わったようだった。
王の御前での模型実験、何やら心を打たれる事例だ。
確かに確実にわかりやすいだろう。
そんな話がちらほらと出だす。
すっかり話題は模型実験の話でもちきりになった。
「彼らだけに王の御前で自らの考えを示すのは少々不公平ではありませんかな」
立派な髭をしごきながら、一人の老学士が芍薬の妃に話しかける。
ええと、笑みを浮かべているが、少々困ったことになったと思っているのがうかがえる。
「それはわたくしの一存ではどうしようもないことですわ」
芍薬の妃は一言そう言ってそれ以上の話題を避けることにしたらしい。
「そのことは茶会の終わってからにしていただけませんでしょうか、このひと時は様々な垣根を超えたお話の時間ですもの」
「おお確かに、がけ崩れを防ぐつる植物の話など興味深い話を聞かせていただきましたな」
老学士は顔をほころばせる。
「お妃さまには実に興味深い場を設けていただいて」
「皆様がお楽しみになっていただけたら光栄でございますわ」
王の寵姫は笑う。
とりあえず今回王の寵姫の評判は守られたようだった。
その背後では数人の少年と青年たちが、持ち込まれた巻物を手に困り果てていた。
「どうすんだよおい」
巻物をざっと見ても分野がいろいろすぎてとりとめがなさすぎる。
「どうして建築と植物学が一緒になってるんだよ」
「こっちは詩作と気候変動だ」
「それぞれ別々に振り分けるか?」
「いや、こっちとこっちがつながってる。分けて書いたら意味が通じなくなる恐れがある」
困惑する見習いと下っ端官吏たちが巻物を手に侃々諤々喧々囂々と最初の仕事にすら手が届かず話し合っていた。
「このまま書き写すしかないんじゃ」
絶望的な表情で金武が言った。
「そもそも何でこんなことになったんだよ」
「芍薬殿がお決めになったの」
阿鼻叫喚の様子に年かさの女官がそう言った。
「争い事を呼ばずにお茶会を終わらせるには分野をバラバラにしたほうがいいって言ってたわね」
ぴしっと少年並びに青年たちの額に青筋が浮いた。
「ふざけんな、結局俺たちにつけをまわしてるだけじゃねえか」
「くっそ、どうすりゃいいんだ」
「分野わけはあきらめたほうがいい、なんだかこれ、合同研究の様相を見せてきた感じだ」
真影は巻物を手にいう。
「ほら、これ、植物学と建築。堤の強化につる草を這わせる。もう、それらしいのをまとめるしかない」
少年たちはしばらく巻物を手に考え込んでいたが、意を決して筆を取った。
「ここまで変則的なのは例がないだろうから」
「もう俺たちのせいじゃないよ」




