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考えないようにしていた。

 適当なところで馬車から降ろしてもらう。早朝の街はいろいろと活気がある。

 やはり寝不足であくびが出る。一応、家にいて、拝家をごまかさないといけないなと思いながら、家に戻る。

 やはり埃っぽい、拝家から迎えが来る前に軽く掃除をしなければと思いながら扉を開けると、家は無人ではなかった。

 誰だっけ、と最初に思った。

「何をしていた?」

 多分父方の親族の一人だろうが、とっさに名前が出てこない。

「いえ、ちょっと朝から散歩を」

 無理を承知でごまかそうと試みる。

「実は、一晩ここにいた、個人的に話したいことがあったのでな、お前が帰ってこなかったのはちゃんとわかっている」

 やはり無理は無理だった。真影はあきらめてため息をつく。

「知り合いのところに行っていたんです」

「お前が止まれそうな友人は一緒に寧州に行っただろう、それ以外に泊めてくれる知り合いはいったい誰だ?」

 適当なところでごまかされてくれる優しさは相手にはないようだ。

「お前、姉のところに行っていたんだろう?」

 問いかける形ではあるが確信があるようだ。

「お前、姉がどこにいるかちゃんと知っているが、こちらには黙っておきたいらしいな」

 困ったなと真影は背中に冷や汗をかきながら、相手を見る。

「話すつもりはありません」

 姉のところというのは認めたが、それがどこなのかは絶対に話さない、隠し通すという強い意志を込めてそう言った。

「おかしいな、お前の姉は王宮で上司に見初められたとかいうが、それならそこまで秘密にする必要があるのか」

 相手は追及の手を緩めない。

 とっさに真影はひらめいた。

「わかりました、実は姉は芍薬殿なんです、ですからみだりに話すなと」

「ふざけてるのか?」

「とんでもない」

 真影は正直に話した、これを信じなかった相手の落ち度だ。

 もちろん信じるはずがないと確信していたからこその暴挙だが。

 真影とて、王宮で、姉に会わなければ、今上級妃として王の寵姫をやっていると言われても決して信じなかったと断言できる。

 疑いの眼差しをかわして真影は相手の出方をうかがう。

「それで、一晩待ちぼうけをするほど、僕に何の話をしたかったんですか?」

 真影は質問に質問で返す形をとった。

 イライラとした顔で真影を睨む。どうやら一晩徹夜でここにいたらしい。

 寝不足はさぞつらかろうと思うが、いったい何を考えているのかわからないので無言で相手とにらみ合う。

「お前、いったい誰に似たんだろうな」

「父親とは似ていないと言われますが」

 そう思いながら案外似ているのかもしれない。ふと姉の顔を思い出しつつ考えなおした。

 金の髪飾りをつけて、王宮にいた姉の姿を思い出す。

 あの時の信じたくない気分は今も思い出したくない。

 姉としては不本意だろうけれど、結構斜め上な行動をとる人だと思う。

 だとしたら自分も、そう思いついて死ぬほど落ち込んだ。



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