85/448
85 幾星霜
「うどん作るのって、けっこう力いりそうだよね」
「生地捏ねたりとかな」
「むぎゅーってね!」
瑞葉が美雪の胸を掴もうとする。美雪はとっさに丼を動かして防いだ。
「次やったらうどん掛ける」
「そんなことしたらお店に迷惑だよ!?」
「だから、やるなよ?」
「わかった! 雪ちゃん、あたしが一人でうどん引っくり返したことにする気でしょ!」
「まあ」
「そういうのよくないよ! ヒトのせいにするのよくないよ!」
「じゃあヒトのせいにされないように我慢しなさい」
「はーい」
「念のため言っとくけど、うどん食い終わった後にやるのも無しな」
「なんでわかったの!?」
「いや、わかるよそのくらい……」
「ラブラブだからか?」
「単純だからだよ」