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「ところでアンダっ……」
自ら話の流れを戻そうとした瑞葉は、これまた自ら言葉を切った。
「アンダ?」
美雪が言葉の続きを促そうと聞き返す。
「…………」
しかし瑞葉はそれに応えず、二人の間には沈黙だけが流れた。
「……………………」
守りの沈黙と攻めの沈黙である。
「ところでオーバーヘアの話だっけ」
「いや、そんな言葉使わないし、最初になんか言いかけてたのはなんなんだよ」
美雪の指摘に瑞葉はきょとんとした顔をする。
「?」
「そんな反応されたらわたしが変なこと言ったみたいになるだろ……」
「? とりあえずオーバーヘアの話に戻すね」
「もうごり押しですね……」
「まああたしは優等生だからさ、ちょっと髪を染めただけなら大丈夫だと思うのよ」
「まず優等生じゃないし、優等生は髪を染めないし、ちょっと染めただけじゃないだろ」