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75 運命
「は~い、瑞葉、あ~んして~っ」
海彩が箸でエビの天ぷらを持ち上げる。
「わーい! 海彩ちゃんありがとー! あーんっ」
喜ぶ瑞葉。その笑顔を確認した後、海彩はエビの天ぷらを自分で食べた。
「ん~~、ぷりぷりでおいし~!」
「雪ちゃん! 海彩ちゃんにいじめられた! いじめられたよ!」
「いや、普通はエビの天ぷらなんてあげないでしょ。気付けよ」
「普通天ぷらは揚げるよ?」
「揚げるけど」
「えっ! 雪ちゃんエビくれるの!?」
「絶対にやらんわ」
「くっ、四面楚歌か……!」
「三人しかいないよ~?」
「三面楚歌か……!」
「自分をカウントすんなよっ」
「違うよ、天ぷらの話」
「囲まれてるけどっ」