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73 せるふまて
「うどんおいしそうだね~」
「ねー! おいしそう!」
海彩と瑞葉はそれぞれの目の前にある天ぷらうどんを見つめる。
「おいしそうだね~」
「ねー!」
二人はうどんを見つめ続ける。
「おいしそ~……」
「ね……」
「……いや、食べてもいいよ?」
見兼ねた美雪が促す。その美雪も二人に合わせてうどんに手を付けていなかった。
「いいの~?」
「奢ってくれるの!?」
「いや、奢らねーよ」
「え~。残念~」
「おいっ」
「こりゃ食い逃げするしかないね?」
「するな! いやしなくていいから!」