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72 全部で五杯
「ご注文の品をお持ち致しました」
盆に丼を三杯載せた店員が現れる。
「わ~い、きたきた~!」
「ささっ。一番できたてを雪ちゃんの元へ」
「どれも出来たてですよ。はい、こちら天ぷらうどんです」
店員が盆から机の上へ、天ぷらうどんの入った丼を三杯下ろす。
「そちらは?」
「天ぷらうどんですよ」
「あちらは~?」
「天ぷらうどんですよ」
瑞葉と海彩の仕様もない質問にも、店員は丁寧にしっかり答えてくれる。
「全部天ぷらうどんですね!」
「おまえらが頼んだんだろうが、店員さんに迷惑かけるな!」
美雪が我慢しきれずにツッコム。店員は微笑んでいた。
「ご注文の品は以上でよろしかったですか?」
「よろしかったです!」
「ふふっ。それではごゆっくりどうぞ」