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71 ちょっと帰りたい
「ではご注文を繰り返させて頂きます。天ぷらうどん三杯、でよろしいでしょうか」
「はい」
「みっつ一緒におねがいします~!」
「もし無理なら一番できたてをこの人に!」
海彩は指を三本立て、瑞葉は美雪に手を向ける。
「はい、かしこまりました」
「あ、いえ、こいつらの言うことは気にしなくていいですから」
顔を少し赤くした美雪が、向けられた瑞葉の手を軽く握り締めた。
「ふふっ、楽しそうでいいですね」
店員は口元に手を当てて優しく微笑む。
「楽しいよ!」
「いいでしょ~!」
「はい。でももう少しだけ、静かにお願いしますね」
「はい!」
「は~い」
「それでは暫くお待ち下さい」
「はい……なんかいろいろすみません……」