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70 丼二杯、小皿六枚
「ご注文をお伺い致します」
呼び出しボタンを押して、やって来た店員を見た瑞葉と海彩は、とびきりの喜びに満ちた笑みを浮かべた。反対に美雪は、そんな二人に少し呆れた。
「スマイルひとつ下さい!」
「もひとつください~」
「えー……えーと、えへへ……?」
瑞葉と海彩の無茶な注文に苦笑いを浮かべる店員。
「なんかすみません。えと、天ぷらうどん一つ」
美雪はメニュー表を見ながらその文字を指差し、ちらっと店員を一瞬確認してから、瑞葉に目を向け注文を促す。
「同じやつもうひとつ!」
「アタシも同じのでおねがいします~」
「いや好きなの選べよ」
「雪ちゃんの好きなモノがあたしの好きなモノだよ!」
「そうだよ~」
「うっさい! あ、えと、注文は、その、以上で……」
「雪ちゃん照れてる~」