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7 ツッコミ
「わあーい! 久しぶりだねっ、雪ちゃん!」
美雪が不良だと思い込んでいた子、瑞葉が、飛び込むような勢いで美雪に抱き付く。
「会いたかったぞ。瑞葉」
それを美雪が両腕を広げて受け止める――
「って、なるか!」
美雪は手の平でぺちぺちと、抱き付く瑞葉の頭を軽く何度か叩いて、自分の体から引き剥がした。
「さて、どこからつっこんでやろうか……」
まるで品定めをするかのように、瑞葉の染めた髪を美雪の手がゆっくりと梳かし、ネクタイでなければいけないリボンの縁を指でなぞり、丈の短すぎるスカートの裾を摘まんだ。
「やだ……こんな朝から突っ込むだなんて雪ちゃん大胆っ」
わざと恥ずかしそうな顔をして上目遣いに美雪を見つめる瑞葉。
「あーもう、こんな髪にしちゃって。入学式どうすんのさ」
それを普通に無視する美雪。無視された瑞葉の顔は見る見る内に真っ赤に染まっていく。
「えっ、まって、スルー? さっきのあたしの発言、スルーされるとすごく恥ずかしいんですけど!」
「だって、もう何回も聞いたことあるから流していいかと思って」