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56 初見殺し
「ところで三田先生!」
瑞葉が元気に手を上げる。
「なんだ? そろそろ私職員室に戻りたいんだけど」
「雑だよ! あたしの扱い雑!」
「ぷふっ」
海彩が吹き出す。
「このやり取り、ついさっきやりませんでしたか」
「ああ、ちょっと参考にさせてもらった」
美雪の誰に向けた訳でもない呟きに、三田先生が答えた。
「先生あたしの扱いに慣れるのはやーい!」
「おまえが言うなよ」
「雪ちゃんよりも先生の方が、あたしの扱いに慣れるの速いかもしれないよ? どうする?」
「どうもしないよ」
「えーっ困るよー! 雪ちゃん負けないでよー!」
「勝ち負けなんてないし、何に困るんだよ」
「いやでも藤美がいなかったら私は相葉の扱いに困り果てていたかも」
三田先生の言葉に、瑞葉と海彩が笑い出し美雪は頬を赤らめた。