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55 のは
「おまえらいつもこんなんなのか?」
三田先生が呆れたように美雪に尋ねる。
「まあ……。でも今日は取り分け騒がしいです」
美雪は困ったように答えた。
「高校生デビューだよ、いえい!」
瑞葉が額の上でピースサインを構える。
「高校生デビューといえば、まずはイメチェンだよなあ?」
瑞葉の明るく染まった髪の毛の上に三田先生が手の平を置く。
「ちょっと待った! 待った! これは地毛だから! 地毛!」
「まあさっき聞いたけどな」
三田先生は手を離した。
「ほら! あれ! 髪があれなのはあれ! ほら!」
瑞葉が海彩を指差す。正確には海彩の綺麗に盛られた髪を。
「友達を売ろうとすな」
瑞葉の伸びた指を握る美雪。
「アタシのは寝癖だよ~」
「そうです。海彩のはただの寝癖です、先生。ちょっと綺麗にまとまりすぎですけど」