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42 かんせつけつ
「ほら、座れば」
美雪が、教室の真ん中辺りにある机の椅子を後ろに引いて、瑞葉を座らせる。
「ありがとう! さすが雪ちゃん」
「ほら、海彩も」
更に美雪は一つ前の席の椅子を引いて海彩に勧めた。
「ありがと~雪ちゃん」
瑞葉が机を手の平でバンバン叩く。
「ここ誰の席? 勝手に座っちゃっていいの? 雪ちゃんの権力は流石だね!」
「そんなのないです。ただ単にわたしの席です」
「え、うそ、雪ちゃんと間接キスしちゃった!」
「キスじゃないし。まだわたし座ってないから間接ですらないよ」
「あ、間接ケツか」
「だから間接じゃないんだって!」
「直接ケツ?」
「ケツから離れろ」
「そんなことしたらふたつにわれちゃう!」
海彩が大きく笑った。