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403 有無
「でもさでもさ、毎日パンツ穿いてたらたまに穿き忘れちゃうことない? だから今の内にあたしが確認しといたほうが――」
「ないよっ」
瑞葉に見られまいと美雪は制服のスカートを鞄で押さえる。
「ほんとに? どっかで落としたりしてない?」
「しないよっ」
「じゃあ雪ちゃんが、あたしがパンツ穿いてるかどうか確認してね」
瑞葉が自分のスカートの裾を摘んだ。
「やだよっ。もし穿いてなかったらすーすーして気付くだろっ!」
「経験者は語る」
「経験者じゃないっ」
「でもあたし、雪ちゃんと違ってスカート捲れたときにパンツ穿いてなかったら死ぬほど恥ずかしいから今の内に確認しといてほしい……」
「わたしのことをパンツ穿いてなくても平気な人、みたいに言わないでっ!」
「じゃあやっぱり雪ちゃんのも確認しとかないと」
「それはいいからっ」
「……あたし、雪ちゃんがわからない」