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400 遠いサヨナラ
「瑞葉、二人を車で送っていってあげなさい」
瑞葉の母は玄関で娘の友人を見送りながら娘に声を掛けた。
「あたし捕まっちゃうよ!?」
「じゃあセグウェイで」
「うちそんなの買うお金ないでしょ!?」
母親に対しては瑞葉も珍しくツッコミに回る。
「ウチで買ってあげようか~?」
「いいの!?」
「買わなくていいからっ」
「は~い」
海彩が携帯電話で親に連絡しようとしたところを美雪が止めた。
「わたしが海彩を送ってから帰るんで大丈夫ですよ」
美雪が海彩の背中に手を回した。
「じゃああたしが雪ちゃんを家まで送るね!」
「アタシも瑞葉を送る~」
「そしたら雪ちゃんは海彩ちゃんを家に送り届けてね?」
「誰も帰れんだろっ」