396/448
396 黄昏
「長い横断歩道だったね」
横断歩道を渡りきった瑞葉が、んーと背筋を伸ばした。
「お前のせいでな」
美雪は繋いでいた二人の手を離す。
「え~。まだ怖いよ~」
まだ手を繋いでいたい海彩が駄々をこねた。
「もうすぐ瑞葉の家があるから、怖くないよ」
「そう、怖くないよお、あたしの家だからねえ」
安心させようとする美雪の隣で、瑞葉が怪しく笑いかける。
「お前が言うとなんか怖いよっ」
「こわい~」
「えーひどい! あたしもさっきまで怖かったんだからね!?」
「お前は車怖くないから横断歩道も平気だろっ」
「…………この横断歩道を渡ったらさ。雪ちゃんと海彩ちゃんとさよならしないといけなくなっちゃうじゃん? そう思ったら怖くて、なかなか足を踏み出せなかったんだよね」
夕日を見つめて憂う瑞葉。
「なにそれ」