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395 ヒロイン
「それじゃあいっくぞー!」
信号機が赤から青に変わり、瑞葉が駆け出す。
「あっこら」
ぱっ、と美雪が手を離した
「なんで!?」
「足が付いてけなかったから」
「もー、早くしないとまた信号変わっちゃうよ」
瑞葉は手を伸ばしながらその場で足踏みを続ける。
「そんなに早く変わらないよ」
すぐに追いついた美雪が手を握り直し、並んで横断歩道を歩く。
「……! 今の良かった! キュンときた!」
興奮のあまり、瑞葉は繋がれた腕をブンブンと振った。
「どこにっ?」
「怒って逃げたあたしを必死に追いかけてきてくれたみたいで!」
「どういう状況だよっ」
「雪ちゃん、いっつもあたしに変なことするから。充分起こり得る未来だよ」
「逆だろっ、逆っ!」