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「いいもん! 横断歩道くらい一人で渡れるもん!」
瑞葉が拗ねる。
「あーもう、ほら」
美雪は海彩の手を握っていない方の腕を差し出した
「いいの!?」
「このままだといつ帰れるかわかんないからだから」
瑞葉の喜びに満ちた顔から目を逸らして美雪が言った。
「えへへー」
差し出された手をだらしない顔をしながら掴む。
「あんま引っ付くなよ?」
「はーい!」
口では了承の返事をしつつ、腕を絡めた。
「言った傍からっ」
「アタシも~」
海彩も美雪に抱き着くように腕を回す。
「明日から一人で登下校しようかなあ……」
美雪の溜め息に二人は慌てて腕を解き、手を繋ぎ直した。