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「あ、青に変わった」
「ほら、今度は変わらない内にさっさと渡るよ」
ぽかんと信号機を見つめる瑞葉の手を、美雪が引いて歩き出そうとする。
「え、でも、知らない人に付いてっちゃダメだって――」
「わたし誰だよっ!?」
「雪ちゃんだよ~」
答えながら海彩が美雪の腕に抱き着いた。
「あっこらっ」
美雪はすぐに引き剥がした。
「どうも瑞葉ちゃんです」
瑞葉が深々と頭を下げる。
「いいよ、知ってるよ」
「え、なんで? もしかしてストーカー?」
「友達だよっ」
「あ、また赤!」
「あはは~」
美雪との会話を放り投げて瑞葉が信号機に注意を向けると、海彩が吹き出した。