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「ああ! さっきまで青だった信号が赤に変わってる!?」
瑞葉は不思議そうに信号機を見つめる。
「……青でいいんだ」
「誰か魔法使った?」
美雪の小さな呟きを聞き逃したまま、瑞葉が尋ねた。
「アタシ使ってないから、雪ちゃんかも~」
「なるほど消去法だね」
海彩がパンと手の平を合わせると、瑞葉もポンと握りこぶしで手の平を打った。
「わたしも使ってねーよ。そもそもこれ魔法じゃないからっ」
「雪ちゃん魔法使いじゃないの?」
「魔法使いじゃないよ」
「そうなんだ……。雪ちゃんがあたし達のそばにいるのは血を吸うためだと思っていたよ」
瑞葉は折り曲げた両手の人差指を口の前に持っていき、小さな牙に見立てる。
「それ違うやつっ!」
「あ~。オオカミニンゲンだ~!」
美雪が瑞葉にツッコミを入れていると、海彩が得意気に答えた。
「それも違うっ!」