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39 まあ、しないんですけどね。
「さっきの子、雪ちゃんの席知らなかったね」
「当たり前だろ、お互いの名前も知らないのに」
頬を膨らます瑞葉に美雪は答える。
「雪ちゃんの席なら知ってると思ったんだけどね」
「わたしはいったい何様なんだよ」
「違うクラスの子だったのかな~?」
海彩が首を傾げる。
「同じクラスだろ。だいたい入学式の日の、それも朝一で他のクラスに遊びに行くなんてアクティブにも程があるだろ。そうそう居ないよ、そんな子」
「雪ちゃん、海彩ちゃん。ちょっとあたし隣の隣のクラスに遊びに行ってくるね!」
「居たよ……。しかもわざわざ二つ隣のクラスかよっ」
「いってらっしゃ~い」
「ああ、いってらっしゃい」
瑞葉に向けて手を振る海彩と美雪。
「えーひどい! 引き止めてくれないの?」
「そのくだり必要か?」
「浮気しちゃうかもしれないよ!?」