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389 みどり
「ほら見て! 信号緑!」
帰り道、瑞葉が歩行者用の信号機を指差した。
「あれアタシじゃないよ~?」
海彩は瑞葉の指の先に頭を出して自身をアピールする。
「そのみどりじゃないから」
すぐ後ろから美雪が声をかけた。
「あ~……あ~!」
気付いたようで海彩は口元を手で覆う。
「じゃあ最初からやり直すからね?」
「うん~。よろしく~」
偉そうにする瑞葉に、海彩が大袈裟に頷いた。
「する必要ないだろっ」
美雪の声は無視される。
「ほら見て、信号緑!」
「あれは青だよ~」
瑞葉が信号機を指差すと、海彩も同じ信号機を指し示した。
「ベタな……」