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382 対価
「火星、出ないから?」
ぽつりと瑞葉が尋ねる。
「……なにそれ?」
不可解そうに美雪は尋ね返す。
「火星から出たくなかったんだと思う」
当たり前のように瑞葉は答えた。
「ここ地球ですけど」
「火星に、出稼ぎに行ってたの」
「そんな技術まだないけどっ」
「雪ちゃんには地球にいてほしかったから隠してたんだよ!」
ツッコむべきか美雪は躊躇った。
「火星、もうかる~?」
「儲かるよ! 宇宙船で地球と火星を一回往復できるくらい儲かるよ!」
海彩が心配そうに見つめると瑞葉は胸を張って答えた。
「地球で働けっ」
「雪ちゃんの恥丘の上で働きたい」
「宇宙服無しで火星行ってきて。お願い」