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380 浮遊遺伝子
「雪ちゃんちょん切ったら、ちっちゃくなって別々に動いたりしないの?」
「しないよ……半分のままだよ……」
瑞葉に期待に満ちた眼差しを向けられた美雪は切断された自分の姿を思い浮かべてしまった。
「三等分くらいにしたら、ちょうどいいんじゃない~?」
海彩がチョンチョンと手を振った。
「海彩ちゃん…………天才!」
「やめろっ! わたしの体をもっと大切にしろっ!」
必死に美雪は抗議する。
「そうだよ! 雪ちゃんの体はもう雪ちゃんだけの体じゃないんだよ?」
「それ使うシーン違うからっ」
「どこで使えばいいの~?」
「えっ……それは……大事な人と結ばれたときとか……お腹に赤ちゃんがいるとき……とか」
海彩からの質問に、しどろもどろになりながら美雪が答えた。
「なんで照れてんの?」
「うっさいっ」
「今のでアタシ子供できちゃったかも~」
「そんな簡単にできるかあっ!」