378/448
378 おいたち
「あたしと海彩ちゃんが結婚して、生まれてきたのが雪ちゃんでしょ」
読み慣れた本を朗読するようにスラスラと語りだす瑞葉。
「待って、いきなりとんでもない話始めないで」
美雪が止める。
「あたしが海彩ちゃんと出会ったのは――」
「馴れ初めとかも聞いてないから」
「プロポーズの――」
「聞いてないから」
「もう! 雪ちゃん最後まで聞いてくれないからつまんない!」
「だって最後まで聞く必要ないでしょ」
美雪に相手にされない瑞葉は頬を膨らませた。
「雪ちゃん産むとき難産でさー。帝王切開したりでもう大変だったんだよ?」
「産んだのは、アタシだよ~?」
海彩が首を傾けておなかをさする。
「え?」
「え~?」
「そこ食い違ったら駄目なとこだろっ! そもそもそんな事実ないけどっ」