370/448
370 静かに
「先生の足音が聞こえる……!」
名残惜しそうに手を振りながら、瑞葉は自分の席へと戻っていった。
「……大袈裟な」
「またあとでね~」
美雪も海彩も自分の席に座った。
「………………」
美雪の隣の席に、静かに静岡さんが着席する。
「静岡さんも今戻ってきたんだ。瑞葉が席取っちゃってごめんね。昼休みどうしてた?」
「…………ん」
静岡さんは喉を鳴らして、瑞葉の後ろの席に座る長い黒髪の生徒を指で指し示した。
「あー……えぐちさん、と一緒?」
「…………」
美雪の問い掛けに、こくりと頷く。
「そっか、一人じゃなくてよかった。楽しかった?」
「……………………」
じっ……と静岡さんは美雪の目を見つめ続けた。
「何か答えてっ」