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37 おおやけ
「ほらほら。他の人の邪魔になるから、さっさと教室行くよ」
美雪が瑞葉と海彩の手を引いて歩き出す。
「どうしよう海彩ちゃん! 雪ちゃんにプロポーズされちゃった!」
「えへへ~、アタシもだよ~」
歩きながら瑞葉も海彩もだらしない笑顔を浮かべる。
「なんでそうなるんだよっ……」
「え? だっていま、俺に一生ついてこい! ってあたしの手を引いてくれたから」
「言ってない言ってない。耳がおかしいのか?」
「え~。おなかの中の子どもと一緒に暮らそう! ってアタシの手を握ってくれたのは?」
「子供! 言うわけない言うわけない。頭がおかしいのか」
「……どうしよう海彩ちゃん、もしかしたら結婚詐欺かもよ?」
「え~、どうするどうする~?」
「入学式で校長先生が挨拶してるときに壇上に上げちゃう?」
「おいやめろっ。絶対にやめろ」
「じゃ~瑞葉が上がっちゃう~?」
「お、いいね。みんなの前で堂々と叫ぼうか!」
「恥ずかしいからやめてくれっ」