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369 距離感
昼休みを終わらせるチャイムの音が教室に響いた。
「じゃあまた明日ね」
瑞葉が小さく手を振って別れを告げる。
「まだ授業後会えるだろっ」
間を開けず美雪にツッコミを入れられた。
「同じクラスだよ~」
「そうそう、同じクラスだよ」
海彩の言葉に美雪も頷く。
「でも……席が離れてるし……」
「すぐに会える距離だろ」
「四千七万五千十四メートルくらい離れてるよ?」
「逆方向で計算すんなっ! 最短距離で計算しろよっ。そもそもそれだけ距離離れてたら明日会うのも難しいよっ」
「ごめん、ここちょっと地面よりも高いからもうちょっと距離あったね」
「微々たる差だよっ」
「雪ちゃんの身長と比べるとけっこうあるよ?」
「わたしを尺にしなくていいからっ」