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362 白くて甘い
「雪ちゃんのと、同じのにする~」
海彩は自動販売機に陳列される飲み物に目もくれず、美雪の顔を見た。
「ええー、好きなの選びなよ」
苦笑いを浮かべて、美雪が自動販売機を指で差す。
「雪ちゃんの好きなのが、アタシの好きなの~」
「まったくもう、この子ったら……あ。あたしも雪ちゃんと同じやつで」
瑞葉も海彩に並んだ。
「ええー……、わたしが選ぶのに困るよ……」
「大丈夫! 苦手なやつでも笑顔で飲みほすから!」
「から~」
「それが申し訳ないんだよ……」
美雪は困り顔になりながら何が売っているか確かめる。そっと、お茶に手が伸びた。
「今はお茶の気分じゃないかなー」
「なんでもいいんじゃなかったのかよ」
美雪の手が止まる。
「ほら、そこのいっこ上の白いやつなんかどう?」
「もー……」